周南市富田のギャラリー庵で10月11日から16日までの間、手織り作家でセレクトショップ「ラ・ナチュラ」のオーナーでもある松森賀子さんによる「手織り・ものづくり展 秋色美術館」が開催されました。
この作品展は、ギャラリー庵で20年近くにわたって毎年開かれているもの。会場には絹や麻で作られた1点もののストールや洋服など様々な作品が出品されていました。
松森さんに作品についてお話しをお伺いしました。そもそも松森さんにとって作品の完成とは、私たち購入者が作品を身に着け、馴染んだ時のこと…作品がちゃんとその人のものになった時が作品が完成した時、なのだそうです。つまり私たちも作品の完成を一役担うことができるんですね。それってなんだかとても嬉しいことです。そして特にこだわりを持った作品についてもお伺いしました。
1点目は「一部もじり織のストール」です。こちらは松森さんが習ったことのない「もじり織」を試行錯誤進めていった結果、完成作品が都度、違う織となって出来上がったもの。そしてそれは「これと同じことをやって下さい」と言われても二度と出来ないものになったのだとか。正に一点ものの中の一点もの、といったストールです。
2点目は「絹の繋ぎ糸のストール」です。こちらは残った糸を結んで繋いで横糸にして使用しているもの。一見すると短い羊毛を紡いで作られるツィードのように見えますが、今回は絹糸だけを使用されたそうです。松森さんいわく「糸の端っこも捨てられない」とのことで、様々な色が重なってできたストールはどこか懐かしいような柔らかい雰囲気に包まれています。
私が思うに…松森さんの作品の原点は、この「捨てられない」という気持ちのような気がします。使われることのなくなった古い布、通常であれば捨てられてしまう布切れや糸。それが松森さんの手によってまた生まれ変わる。そこには優しい世界が広がっています。
秋色美術館は終了してしまいましたが松森さんの作品は12月8日からギャラリー庵で開催される「師走のいろ・色展」でご覧いただくことができます。興味のある方は是非、足を運んでみてください。
(井上華織)
ギャラリー庵
【場所】周南市富田1丁目11-17
【電話】0834-64-2839
この記事の内容を番組でお伝えしています。
【番組名】これくと
【放送期間】10月24日(月)~30日(日)
【放送時間】①7時 ②12時 ③18時 ④20時30分
チャンネル 12
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