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《周南おもちゃ病院 病院長 木村修吉さん》

クリスマスやお正月の時季は、子ども達にとって心躍る季節。新しいおもちゃも欲しくなるだろうが、手にしたおもちゃをずっと大切にしてくれれば、届けたサンタさんだってきっと嬉しいだろう。

壊れたおもちゃを治療してくれる病院がある。その名も、おもちゃ病院。

山口県アクティブシニア協会の活動の1つで、皆さんが各分野で培った知識・技術・経験・能力などを社会に還元し生きがいを感じながら、来院した子ども達の心も育んでいる。

開院場所は周南地域の公民館やショッピングセンターや小児科などで、患者は20年間に6,600人以上。若いころの淡い想い出の詰まったオルゴールや、最近は電子ピアノなど電池式のおもちゃも持ち込まれ、老若男女を問わず来院しているという。ドクターは周南地域の企業OBを中心に16名で、ものづくり好きが皆さんの共通項である。以前はドクターらしい白衣姿で治療していたが「泣く子もいるので、15周年を機にエプロンを作りました」とのこと。

問診のあと、いよいよ治療だ。

「持ち主の目の前で、まずは分解です。最近のおもちゃは、壊れても修理できないように作られていて分解しづらく部品もない。それでも何とか分解して、何とか動くようにします。道具も含めて、工夫のしどころが面白いんです」と木村さん。

7年前に2代目病院長を引き継いだ木村さんは、大阪生まれの姫路育ち。九州工大卒業後、化学メーカー㈱トクヤマに入社。設備設計や樹脂加工などの分野で東京勤務も経験したのち、周南へ転勤。ゴルフ場が近くに沢山あることも決め手となり、周南に家を構え20年が経つ。ドクターになったのもその頃で、同時に子会社立ち上げにも携わり現在に至る。

「子どもの頃から姉の理科の教科書を見て電磁石を作って遊んでいました。動く電車も自分で作ってたんですよ」と、幼少期からものづくり一筋の歩みを振り返る。

「重症患者は、じっくり自宅手術してお届けします。その時の喜ばれる顔を見るのが嬉しいです。修理させてもらって、楽しませてもらっているんです。落書きや手垢も、消さずにそのまま返すんです」消さない理由を問うと「汚いけれど、それはその子の思い出だから」と優しい語り口で続けた。

木村さんを始め、ドクターの皆さんの物腰柔らかな佇まいが印象的なこの病院は、持ち主の気持ちに寄り添いながら、子ども達の科学する心や物を大切にする心を育てている。

小春日和の陽射しまで一層温かく感じながら家路に就いた。

(文:恵雅子  写真:林義明)