徳山駅を拠点に再開発が進んでいる。転入し周南市民になる人も増えている。周南市に転入し、クラフトビールを作っているのが大空さんだ。
大空さんは、広島出身。山口大学へ進学し学生時代を過ごす。1人1国をプレゼンテーションする授業でドイツを紹介することになった大空さんは「観光案内のようでは面白くない」と、ドイツビールとウインナーを買い込んで飲み比べてみた。すると、その違いや美味しさ、ビールの奥深さにどっぷりハマり、これを機に、自らも楽しみながらのビール研究が始まった。卒業後は市内のホテルに就職しビール祭りなどを宇部でも開催。セミナーにも通った。その後、地ビール会社に転職し営業でさらに人脈ができた。その頃、周南市大津島の産物であるスダイダイでビールを作る企画に参加することになる。周南市とのかかわりができ、他地域とは手ごたえが違うことに感動。そして、次のビール祭りは周南で、次に住むなら周南市で、と2019年に実行委員会を立ち上げ、駅前で開催。するとビールのみのイベントに3000人が集まり、1日で1000リットルが出たことに「周南はビール好きな人が多い!」と更なる手ごたえを感じた。
転居を決めると、河東町に工場を構えて発泡酒作りに着手。ラベルはアメリカンコミック調のデザイン。POPで見た目から楽しい仕上げになっている。パッケージングまでを工場で行い、味は10種。そのうち3種は2022年春に行われたジャパン・グレートビアアワーズで銀賞を受賞。「クラフトビールの本場アメリカからも視察があり、高評価を得たことで一層の自信につながった」という。2回目のビアフェスティバルも9月に開催したばかりでとんとん拍子に進んできたが『毎日がピンチ』と語る前向きな大空さん。特技はマジックで「子供だましのような簡単なものでも無茶苦茶練習を重ねたのは、今の発泡酒づくりにも通じたかも」と振り返る。「今後はもっとブラッシュアップしていきたい、恩返しもしていきたい、クラフトビールが楽しめる飲食店も展開したい。クラフトビールは楽しいものだということをコアなお客さんと話していきたい」と夢は広がる。
周南に暮らし、人の温かさに触れ、周南大好きな大空さんからは、若い感性に大らかな人柄も感じられた。新しいものを取り入れるまち、温かいまち、その言葉も印象的だった。これからも周南に新しい風を吹き込み、さらに発信してもらいたい。
(文:恵雅子 写真:林義明)